~孤独ではなく「自立した人生の締めくくり」を選ぶために~
近年、「おひとり様」と呼ばれる単身者の増加が社会的に注目されています。生涯独身を貫く方、離婚や死別により独りとなった方、子どもがいても疎遠な関係で老後を一人で迎える方——。ライフスタイルの多様化により、「おひとり様」として老後を生きることは、もはや特別なことではありません。
そんな中で注目されているのが「終活(しゅうかつ)」です。終活とは、自分の人生の終わりをよりよく迎えるための準備活動のこと。遺言書の作成や財産の整理、葬儀の準備、エンディングノートの記入など、多岐にわたります。
特におひとり様にとって、終活は「自分らしく生ききるための必須事項」と言っても過言ではありません。この記事では、なぜおひとり様にとって終活が大切なのか、その理由と具体的な準備内容について詳しく解説します。
1. 「もしもの時」に頼れる人がいない現実
おひとり様にとって最も大きな不安の一つは、「いざという時、誰が自分の面倒を見てくれるのか」ということです。例えば、突然倒れたとき、意識を失ったとき、病院に運ばれたときに、家族がいれば代わりに判断してくれることもありますが、おひとり様にはそれがありません。
■ 判断能力の喪失に備える
認知症や事故などで意思表示ができなくなったときに備えて、任意後見契約や尊厳死宣言書などを準備することで、信頼できる第三者に自分の意思を託すことができます。
■ 緊急連絡先がない問題
身元保証人や緊急連絡先を求められるケースは、病院や施設の入所時などで頻繁にあります。事前に信頼できる人との間で身元保証契約や死後事務委任契約を結んでおくことで、自分に代わって動いてくれる人を確保できます。
2. 「死後のこと」も自分で決める時代
家族がいない、もしくは関係が疎遠な場合、自分が亡くなった後のこと(遺体の引き取り・葬儀・納骨・遺品整理など)を誰が行うのかが問題となります。
■ 孤独死のリスクと社会的課題
一人暮らしの高齢者の増加とともに、「孤独死」のリスクも高まっています。発見が遅れることで社会的な影響も大きくなりますが、それ以前に、自分の尊厳を守る意味でも、死後のことを他人任せにしない意識が必要です。
■ 死後事務委任契約の活用
自分が亡くなった後の事務手続きを任せる契約(死後事務委任契約)を交わしておくと、葬儀や遺品整理などを代行してもらうことができます。行政書士やNPO法人、終活支援団体などがサービスを提供しています。
3. 財産と権利を守るために
おひとり様にとって、自分の財産をどのように使い、誰に託すのかは極めて重要な問題です。遺言書を残さなければ、法律によって自動的に処理され、意図しない相続やトラブルの原因になることもあります。
■ 遺言書で意思を明確に
法的効力を持つ「公正証書遺言」などを活用することで、自分の財産を望む形で配分することが可能です。身内がいない場合は、信頼する友人や団体、地域活動などに寄付することも選択肢の一つです。
■ デジタル遺産の管理も忘れずに
インターネットバンキング、SNS、メールアカウントなど、「デジタル遺産」も見過ごせません。ログイン情報を整理し、エンディングノートに記しておくことで、死後の混乱を防げます。
また私たちはデジタルエンディングノートも推奨しています。冊子で大切な情報を記録することも大切ですが、オンライン上で伝えたい方へ必要な情報を提供することや、金融機関などの大切な情報をセキュリティー強化して情報管理することも目的としてオンラインでのエンディングノートを推奨しています。

4. 自分らしい最期を迎えるために
終活は単なる「死の準備」ではなく、「どう生きるか」を見つめ直す機会でもあります。おひとり様にとって、自分が望む形で人生の最期を迎えることは、最大の自立であり、自尊心の表れでもあります。
■ どんな介護を受けたいか
介護施設への入所を希望するのか、在宅で過ごしたいのか、誰にどこまでの介助を望むのか。こうした希望は「エンディングノート」や「事前指示書」に書き残しておくことが大切です。
■ 自分の死をどう見届けてもらいたいか
宗教・無宗教、葬儀の形式、納骨の方法——自分の価値観に合った方法を選び、それを伝える手段を持っておくことで、死後も「自分らしさ」が保たれます。
5. 精神的な安心を得るために
終活の最大のメリットは、不安からの解放です。
■ 「準備がある」という安心感
何が起きても大丈夫、必要な準備はできている——という心の支えは、毎日の生活をより前向きにしてくれます。おひとり様であることが「孤独」ではなく、「自由」と「誇り」につながるのです。
■ 他者とのつながりを再確認
終活を進める中で、自分にとって本当に大切な人、支えてくれる存在、信頼できる専門家などとのつながりが生まれることもあります。おひとり様であっても、人とのつながりを再構築するきっかけにもなります。
6. 終活で備える主な項目一覧(チェックリスト)
分野 | 主な準備内容 |
---|---|
財産管理 | 遺言書作成、公正証書遺言、信託契約、デジタル遺産の管理 |
医療・介護 | 任意後見契約、延命治療の希望、介護方針の記録 |
死後の手続き | 死後事務委任契約、葬儀・納骨の希望、ペットの行き先など |
心の整理 | エンディングノート、人生の振り返り、感謝の伝達 |
終活は「自分を守る」最も現実的な手段
終活というと「縁起でもない」「まだ早い」と感じる方も多いかもしれません。しかし、おひとり様にとっての終活は、「死ぬため」ではなく「自分の人生を最後まで自分で決めるため」のものです。
他人任せにするのではなく、自分で選ぶ、決める。そうすることで、安心して今を生きることができます。そしてそれは、誰にも迷惑をかけず、誇りを持って生き切るための、最も現実的で賢明な手段なのです。
まとめ:おひとり様の終活は「孤独」ではなく「自由」の選択
人生の最期をどう迎えるかは、その人の価値観や哲学に深く関わるテーマです。おひとり様であることを、後ろめたさではなく「自由」として捉えるならば、自らの人生の締めくくりも、しっかりと自分の手で準備しておきたいものです。
終活は決して「死」に向き合うだけのものではありません。それは、自分の生き方を見つめ直し、「自分らしく生ききる」ためのプロセスでもあるのです。
いかがでしたか?
おひとり様の終活は、決して遠いものではなく身近に感じていただきながら、いつどんな時でも自分の身辺を整理するために常に最新情報にアップデートする必要もあります。今の資産や、自分自身の将来についての見える化をすることがとても大切です。
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